看護師こわい
気の強い看護師に用事があるとき、僕はいつも荒波に飲まれかけている船の下っ端船員のような気持ちになる。
看護師はとてもこわい。
女社会を生き抜いてくのにはかなりのエネルギーと頭脳が必要なのだと思う。だから、精鋭たちだけが残る。
これはかなり失礼な言い方になっているとは思うが、本当にそうなのだ。ジャングルの掟となんら変わりない。単純に力のみが己を証明する条件になる。
特に役職付きの女性は圧倒的な生命力を感じる。格の違いだ。
その超高エネルギー生命体を前にして、僕のような劣等種であるところの男子は、なすすべがほとんどない。
なんとか気に入られて、波風を立てないようにするほかない。
しかし、僕はそのような立ち回りが苦手である。死亡。
幸い、自分の部署の部長や課長は僕に対して好意的で命拾いしているところである。
特に部長は院内でもそれなりに力を発揮できるタイプの人間なので、後ろ盾としてもかなり頼もしい。
ビッグシールドガードナーの5倍くらい。
看護師の怖いところはなんというか、話している時は普通の顔をしているのだが(むしろかなり笑顔の場合すらある)、懐にぎらぎらと光るナイフを隠し持っているような。
いや、隠しきれていない。むしろ突きつけられているような気すらする。
新人看護師ですら、懐刀を有している人がいる。その力の片鱗を見せつけられる瞬間がある。
(優しい看護師もたまにいる。たまに)
これは僕がただ単に勘違いしているのか、それとも社会人はみんなこんな感じなのかはわからない。なにせまだ社会人になって1ヶ月しか経っていない。社会経験が少ないからこう感じてしまうだけかもしれない。そう思いたい。
かなり出遅れた新社会人の割に、1ヶ月目に得た教訓が「看護師こわい」って、かなり終わってる気がする。
Kabochan.